切削速度と送り速度の違いとは?加工条件を最適化するメリットを解説

切削速度と送り速度は、ドリル加工や旋削などの切削作業において、加工効率・仕上げ品質を左右する重要な要素です。両者は同じ「速度」として混同されがちですが、それぞれの意味は異なります。

安定した加工を実現するためには、こうした切削条件を目的や材質に応じて最適なバランスで設定することが欠かせません。今回のコラムでは、切削速度と送り速度の違いを解説するとともに、条件を最適化するメリットについてもお伝えしていきます。

もくじ

  1. 切削速度とは
  2. 送り速度とは
  3. その他の切削条件
  4. 切削条件を最適化するメリット
  5. 適切な切削条件の設定で加工精度を高める

切削速度とは

切削速度は、ドリルやエンドミルといった工具の刃先が被削材の表面を1分間にどれだけ削れるかを示すものです。単位は「m/min(メートル毎分)」で表され、回転数(rpm)と工具径から求められます。

切削速度は加工中に起きる工具の摩耗や仕上げ面の品質に直結するため、重要な加工条件の1つです。

一般的に、切削速度を上げると加工時間は短縮されるものの、刃先温度が上昇するため摩耗は進みます。逆に遅すぎると効率が落ちるほか、切りくずが滑らかに排出されずに仕上げ面が荒れることもあります。

計算式

切削速度(V)はドリルやエンドミルの「回転数(N)」と「工具径(D)」から算出でき、計算式「V=π(円周率)×D×N÷1000」で表されるのが一般的です。

この式により、工具が1分間に削れる円周距離を求めることができます。たとえば、直径10mmのドリルを1500回転で回す場合は、「V=3.14×10×1500÷1000=約47m/min」です。この値をもとに、逆算して必要な回転数を求めることも可能です。

実際の加工では工具の材質や被削材の硬さによって適正速度が異なるため、この式はあくまで基礎的な目安として用いられます。

決め方

切削速度を決める際は、被削材の種類や硬度、工具の材質、コーティングの有無、冷却条件、加工目的などを考慮します。

例えば、軟らかい材料は高速で加工しても問題ありませんが、硬質鋼やステンレスは熱の影響を受けやすいため、速度を下げて加工しなければならない、といった具合です。

工具のカタログ値や実績データを参考に、現場条件に合ったバランスで設定を行うことも重要です。

送り速度とは

送り速度は、ドリルやフライスなどの工具が被削材の内部へどれだけの速さで前進するかを示す値です。一般的に「mm/min(ミリ毎分)」または「mm/rev(1回転あたりの送り量)」で表され、ドリルの場合は工具が1回転するごとにどの程度進むかを意味します。

送り速度が大きいと加工能率は上がりますが、切削抵抗が増して刃先への負担が大きくなり、チッピングや折損の原因になりがちです。一方、送りが小さすぎると切りくずが排出されにくくなり、摩擦熱が増えて焼き付きや仕上げ面の乱れを引き起こします。

適正な送り速度を設定することで効率よく安定した加工を実現でき、工具寿命や製品精度の向上につながります。

計算式

送り速度(F)は、工具の回転数(N:rpm)と1回転あたりの送り量(f:mm/rev)から求められます。一般的な計算式は、「F(mm/min)=N×f」です。

たとえば、回転数1,500rpm、1回転あたりの送り量が0.1mmの場合は、「F=1,500×0.1=150mm/min」となります。この値を基準に、切削速度や被削材の特性に合わせて最適な加工条件を設定します。

送り量(f)は工具径や材質によって適正値が異なり、径が大きいほど送り量も大きく設定できます。実際の加工では、この式を目安にしながら、ドリルの振動、切りくずの状態、仕上がり面の粗さなどを観察して微調整するのが一般的です。

決め方

送り速度を決める際は、まず被削材の種類と、使用する工具の材質・形状を考慮します。軟らかい材料は高い送りでも滑らかに加工できますが、硬質鋼のように粘りのある材料では低くするのが基本です。

工具径が大きいと送り量を増やしても安定しますが、小径ドリルの場合、過大な送りは折損を招くため注意が必要です。このほか、高精度加工では送りを小さめに、荒加工では効率を優先して大きめに設定するなど、加工目的に応じて最適化しましょう。

その他の切削条件

切削加工では、切削速度と送り速度のほかにも適正に設定するべき値があります。総合的に適正な数値を算出し、加工精度を高めましょう。

回転数

回転数は、切削工具が1分間に何回転するかを示す値で、「rpm(毎分回転数)」で表されます。

回転数が高すぎると、摩擦によって刃先温度が上昇し、焼き付きや摩耗が早まる原因になります。反対に低すぎると切れ味が悪化し、仕上げ面の荒れ、切りくずの排出不良を引き起こしかねません。

回転数を適正に設定することで、切削抵抗を抑え、効率的な加工が可能になります。加工条件を決定する際は、切削速度とのバランスを考慮して設定しましょう。

切り込み量

切り込み量は、工具が被削材の内部へどれだけの深さで侵入するかを示す値で、「mm(ミリメートル)」で表されます。これは1回の切削で削り取る層の厚さを意味し、加工時間・負荷・仕上げ精度に大きく影響します。

切り込み量が大きければ短時間で多くの材料を除去できますが、同時に切削抵抗や発熱による刃先への負担も増加します。被削材の硬度、工具の剛性、機械の出力、そして加工目的によって適切な切り込み量を設定しましょう。

切削条件を最適化するメリット

切削加工において、条件を適正化することには、次のようなメリットがあります。

工具摩耗を抑えられる

切削速度や送り速度、切り込み量などが適正でないと、刃先に過剰な熱や応力が集中し、摩耗やチッピングが急速に進行します。

一方、最適化された条件では工具が無理なく被削材を削るため、発熱や摩擦が抑えられ、刃先の状態を安定させることが可能です。また、切りくず排出がスムーズになるので、焼き付きや溶着のリスクも軽減されます。

工具寿命が延び、交換頻度やコストを削減できるだけでなく、加工の安定性も向上します

加工精度を高められる

切削条件を適切に設定すると、加工中の振動や熱変形が抑制され、結果として加工精度が大幅に向上します。

切削速度が高すぎると刃先が熱で膨張し、寸法誤差や真円度の低下を招きかねません。送りや切り込み量を最適化すれば、切削抵抗のバランスが安定し、ドリル・ワークのブレを防止することが可能です。

また、熱が一定に保たれるので、材料の変質を最小限に抑え、仕上げ面の粗さや寸法精度も安定させられます。結果として製品の品質が均一になり、後工程での修正や手仕上げ作業の量を減らすことができます

加工時間を短縮できる

切削条件を最適化することは、単に品質を上げるだけでなく、生産効率を向上させる手段でもあります。

適正な条件設定によって工具の破損が抑えられれば、機械が停止することも減り、生産効率が維持できます。加工精度が高まれば、再加工や修正といった手間もかかりません。

このように、停止や再加工のロスがなくなれば連続加工が可能になり、結果としてライン全体のスループットが向上します

適切な切削条件の設定で加工精度を高める

切削速度と送り速度は、どちらも切削加工において重要な条件です。これらを正しく設定しないと、品質の低下や工具の劣化につながるため注意しなければなりません。

荒加工・仕上げ加工といった内容のほか、工具素材や被削材など、さまざまな状況に合わせて条件を調節することが大切です。メーカーのカタログの値を参考にするのが基本ですが、作業環境はそれぞれ異なるため、実際の加工と照らし合わせながら最適な条件を見極めましょう。

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この記事の執筆者

特殊切削工具メーカー比較サイト編集部

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