コレットチャックはCNC工作機械などで使用される保持具の一種で、ワークや切削工具を固定するための装置です。比較的シンプルな構造ですが、仕組みを理解しないまま使用すると工具のブレや摩耗、加工不良の原因になることもあるため注意が必要です。
このコラムでは、コレットチャックの基本的な仕組みとメリットデメリットを解説しています。使い方のポイントと交換のタイミングもまとめているので、あわせてご覧ください。
コレットチャックとは

コレットチャックとは、工具やワークを高精度に固定するための締結装置で、マシニングセンタやNC旋盤などで広く使われています。軽量でコンパクトですが、工具の振れを抑えたい高速加工や、微細加工でもしっかりした保持力を発揮するのが特徴です。
コレットチャックの構造
コレットチャックは、円筒形で複数のスリットが入った構造になっており、弾性によって開閉します。コレットが包み込むように対象を覆うので、圧力が一点にかかることがなく、把握した部分が傷つく心配がありません。
代表的な型として「静止型」「引き型」が挙げられます。
| 静止型 | コレットが軸方向に動かないタイプで、ワークが固定されるため、位置決め精度が高い |
|---|---|
| 引き型 | コレットを引いて対象を把握する一般的なタイプで、振れ・繰り返し精度に優れる |
コレットチャックは、ナットで締め付けることでコレットが縮み、ワークを固定する仕組みです。スリットの入ったコレットが均等に縮むことで、協力に対象物を保持します。爪で固定するタイプのチャックに比べ、芯ずれが起きにくいつくりになっているのが特徴です。
ただし、工具径などが合っていないと破損や振れ精度の悪化を招くため、できる限りジャストサイズのものを選びましょう。
コレットチャックの種類
コレットチャックには、加工内容や用途に合わせて多くの種類があります。最も一般的なのはERコレットで、汎用性に優れるため、さまざまな加工現場で採用されています。
このほか、ドリル用、エンドミル用のように、用途に特化したタイプを選ぶことも可能です。使用する工具径や求める精度、切削条件に応じて最適な種類を選びましょう。
材質
コレットチャックに使われる材質は、超硬や鋼など、硬く靭性のある金属が一般的です。高い硬度を持つコレットチャックは、長期間のクランプや切削時の振動にも耐えられます。
焼き付きの起こりやすい材料に対しては、耐熱性に優れたサーメットが採用されることも多いです。材質の品質は、保持力や工具振れにも直結するため、加工精度を重視する現場では材質のグレードを重視するケースもあります。
コレットチャックのメリット
コレットチャックを採用すると、次のようなメリットが得られます。
- 高い把持精度
- スムーズな着脱
- 幅広いサイズへの対応
高い把持精度
コレットチャックは、スリットが入ったコレットの弾性を利用して工具を均一に締め付けるため、高い把持精度を実現します。一般的なチャックのように特定の点で押さえるのではなく、円筒全体で工具を包み込むように保持するため、芯ブレを抑えられるのが利点です。
微細加工や高速回転が必要な加工においても工具の振れが少なく、仕上げ面の品質が安定します。負荷がかかっても工具がずれにくいので、工具寿命の延長、加工バラつきの抑制にも効果的です。
スムーズな着脱
コレットチャックは、構造がシンプルなので、工具の交換がスムーズに行えます。ナットを緩めるだけでコレットが解放され、弾性によって自然に広がるため、工具を引き抜きやすいです。
着脱のしやすさは段取り替え時間の短縮につながり、多品種加工や試作の現場で大きな効率改善をもたらしてくれます。また、オペレーターのミスを減らせるため安全性にも優れ、習熟度が浅い作業者でも安定した操作が可能です。
幅広いサイズへの対応
コレットチャックは、異なる内径のコレットを使い分けることで、さまざまなサイズの工具径を対応できます。多くのメーカーが多彩なサイズ展開をしているため、使用する工具、ワークの外径に合ったコレットを採用しましょう。
加工中に適切なグリップを確保するため、機器との互換性も考慮し、サイズを選定することが大切です。
コレットチャックのデメリット

コレットチャックには、次のようなデメリットもあるため、用途や予算に応じて決める必要があります。
- 高負荷な加工には不向き
- 定期的な交換が必要
高負荷な加工には不向き
コレットチャックは高精度で工具を保持できる一方、重切削や高負荷の加工にはあまり向いていません。保持力が弾性変形に依存しているため、油圧チャックのように強固なクランプ方式と比べると把握力に限界があります。
送り速度が高い場合や切り込みが深い場合には、切削抵抗によって滑りや振れが発生しやすく、工具が外れるリスクがあります。剛性が不足することも多く、ビビリの原因になりがちです。
定期的な交換が必要
コレットチャックは消耗品であり、長期間使い続けると保持力や精度が徐々に低下します。繰り返し使うことでスリット部分に疲労が蓄積し、変形などによって芯ブレや工具の滑りを誘発する可能性があります。
内部に切粉が噛み込んだり、摩耗が生じたりすると、仕上げ品質の悪化や工具折損の原因にもなりかねません。そのため、高精度を求める現場では計画的にコレットチャックを交換するケースが多く、メンテナンスコストとして考慮しておく必要があります。
コレットチャック使い方のポイント
ここでは、コレットチャックを適切に活用するためのポイントを解説します。
締め付けトルクは適正値を守る
コレットチャックの使用において重要なのが、指定された締め付けトルクを守ることです。締め付けが強すぎるとビビリが発生しやすくなり、保持力が不安定になったり寿命が短くなったりします。
一方、締め付けが弱すぎると加工中に工具が引き込まれる、脱落するといったトラブルを引き起こしかねません。機械やワークの破損につながることもあるため非常に危険です。
締め付けトルクはメーカーによって定められているため、製品ごとの値を守って管理しましょう。
コレットとナットの清掃は必須
コレットチャックは高精度な保持具であり、ゴミや切粉が噛み込むと精度が低下してしまいます。コレットの内側やナットに切粉が残っていると均一な収縮を阻み、歪んで固定されてしまいかねません。
その結果、芯ブレの増大、加工面の荒れ、工具折損など、さまざまなトラブルの原因になることも。清掃の際は工具を外し、エアブローして細部の付着物もしっかり除去しましょう。
傷や錆を防ぐため、仕上げに防錆油を塗布するほか、専用のコレットスタンドを用いて収納するのもおすすめです。
コレットチャックの寿命と交換のタイミング

コレットチャックは繰り返し締め付け・開放を行うことで、徐々に摩耗が進行します。また、弾性も永久に維持できるわけではなく、使うほどに疲労が蓄積し、徐々に「へたり」が生じます。
劣化したコレットは、締め付けても十分に縮まず、保持力が低下して工具が滑りやすくなるため注意が必要です。たとえ外観に異常がなくても、次のような兆候が見えたら交換を検討しましょう。
- 保持感が弱くなった
- 締め付け時に違和感がある
- 芯ブレが増えた など
重切削では半年、通常の加工では1年~1年半が1つの目安になります。ただし、交換時期は使用環境や加工条件によって異なるので、摩耗、劣化が進んだら交換してください。
工具が抜けやすくなったり、加工面が突然荒れるようになったりした場合は、コレットの劣化が原因であるケースが多いため、早急な交換が推奨されます。
コレットチャックを正しく使おう
コレットチャックは、対象物を均一な力で締め付ける構造により、高精度な加工を実現できる保持具です。ただし、工具径とコレットサイズの適合、締め付けトルクの管理、切粉や汚れの除去といった基本を怠ると、本来の性能を十分に発揮できません。
サイズ違いの工具を無理に装着したり、摩耗したコレットを使い続けたりすることは、加工精度の低下や機械トラブルにつながります。安全性と作業品質を高めるため、日常的な点検と正しい使い方を心がけましょう。
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この記事の執筆者
特殊切削工具メーカー比較サイト編集部
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