旋盤で使われるバイトの種類は?形状・材質・選び方を解説

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旋盤加工で用いるバイトには、材質や形状、構造などによってさまざまな種類があります。不適切なバイトを使用すると工具の欠損や加工精度の低下などを招くため、注意しなければなりません。

このコラムでは、主に旋盤に使われるバイトについて、種類と特徴を詳しく解説しています。選び方のポイントもまとめていますので、あわせてご覧ください。

もくじ

  1. バイトとは
  2. 【旋盤加工】バイトの構造
  3. 旋盤加工におけるバイトの形状
  4. バイトの材質
  5. 旋盤のバイトは被削材に合わせて選ぶ
  6. 【旋盤加工】バイトを使用する際の注意点
  7. 最適な旋盤用バイトを選定しよう

バイトとは

バイトは、金属や樹脂、木材などの材料を削って所定の形状に仕上げるために使われる切削工具の1つです。旋盤という工作機械では、素材自体が高速で回転し、その外周にバイトを押し当てることで次のような加工を行います

  • 表面を削る
  • 寸法を整える
  • 溝をつける

バイトはホルダーに取り付けて使用し、削る対象や目的に合わせて刃先角度・加工経路を決定します。切削中は熱や振動が発生するため、バイトには高い剛性と安定した保持が欠かせません。

【旋盤加工】バイトの構造

バイトにはさまざまな種類があり、加工内容に応じて構造や素材、形状を適切に選ぶことが重要です。ここでは、バイトの種類を構造別に解説していきます。

ムクバイト

ムクバイトは、刃先からシャンク(柄)までが一体となったバイトで、「ソリッドバイト」「完成バイト」とも呼ばれます。超硬やハイスから削り出して製作されるため自由度が高く、加工目的に応じて形状を調整できるのが特徴です。

昔から使われている伝統的なタイプで、再研磨して繰り返し使用することができます。スローアウェイバイトに比べると高額になりがちですが、刃先が摩耗しても再生できるため、長期的にはランニングコストを低く抑えられます。

付刃バイト

付刃バイトはシャンクと刃先部分をロウ付けした構造になっており、「ロウ付けバイト」とも呼ばれています。刃先とシャンクを別の材質で製作できるので、ムクバイトに比べて刃先の材質の選択肢が広いのが特徴です。

高価な刃先であっても、比較的安価なシャンクに組み合わせれば、コストを抑えつつ性能を確保できます。スローアウェイのようにチップ交換はできませんが、再研磨できるため、汎用旋盤の現場で根強い人気があります。

ムクバイトほどの自由度はないものの、汎用性と価格バランスに優れたバイトです。

スローアウェイバイト

スローアウェイバイトは、工具本体に刃先(チップ)を取り付けるタイプのバイトで、摩耗したらチップを交換して利用します。研磨が不要で交換するだけという扱いやすさから、現在の旋盤加工では主流のタイプとなっています。

チップは材質やコーティングごとに多様な種類があり、被削材や加工目的に合わせて簡単に使い分けることが可能です。技術者の研削スキルに依存せず、総合的な生産性の向上に効果があることから、量産加工やCNC旋盤で多用されています。

旋盤加工におけるバイトの形状

旋盤加工で活躍するバイトの形状はさまざまで、加工目的に応じて使い分けられます。主な形状は以下の通りです。

剣バイト 刃先が剣のように尖っており、溝加工や曲面など複雑な形状の加工に用いられる
片刃バイト 片側のみに刃があるタイプで、安定性・汎用性が高いため、幅広い加工に用いられる
ねじ切りバイト ねじ山を削り出す専用工具で、外径用・内径用に分けられる
中ぐりバイト 穴の拡大や内径精度の調整に用いられ、旋盤のほか、中ぐり盤、NC中ぐり盤などで利用される

CNC旋盤の普及により、標準化されたチップ形状とホルダー形状が体系的に整備され、用途別に最適化された形状が選べるようになっています。

バイトの材質

バイトは、その材質も選定の重要なポイントになります。それぞれの特徴を把握し、加工目的に合わせて適切なものを選びましょう。

ハイス

ハイス(高速度鋼)は、古くから切削加工に用いられている素材です。粘り強い性質があるため、刃物として靭性が高く、根強い人気を誇っています。

切削中の衝撃で欠けにくく、研ぎ直して繰り返し使えるため、汎用旋盤の現場などで重宝されています。扱いやすい一方、超硬やセラミックスに比べると耐摩耗性は劣るため、量産加工や高速切削には向いていません。

超硬

超硬は、タングステンカーバイドを主成分とした焼結合金で作られます。高い硬度と耐摩耗性を持ち、高速回転での切削や長時間の連続加工に強いのが特徴です。

刃先が硬いため摩耗しにくく、安定した寸法精度を保ちやすい点もメリットです。ハイスのような刃先が潰れやすい硬質材にも適しており、鋳鉄や非鉄金属の切削でも優れた性能を発揮します。

ただし、衝撃や振動に弱いため、切削条件が不安定な場合は欠けが発生しやすいという弱点もあります。

セラミックス

セラミックスは、アルミナ、窒化ケイ素系などの無機化合物を焼結して作られた材質で、高い耐熱性と耐摩耗性を持っています。鉄鋼材料の高速切削に強く、金属では耐えられない高温でも刃先性能が安定するため、鋳鉄・耐熱合金の加工に用いられることが多いです。

冷却材なしで高速で削り続けられるため、ドライ加工での生産効率も大きく高めることができます。一方で、金属材料と比べると靭性が低いため、衝撃や断続切削には弱く、刃先が欠けやすい点は大きなデメリットです。

旋盤のバイトは被削材に合わせて選ぶ

バイトは被削材に合わせて選ぶことも大切です。被削材ごとに適したバイト工具を選定すれば、作業効率や加工精度の向上が図れます。

硬材向け

硬材の切削では、バイトに高い耐摩耗性と剛性が求められます。硬い素材は工具に大きな負荷がかかるため、刃先が鈍ったり欠けたりしやすく、適切な工具材質と刃先形状を選択しないと加工精度が大きく低下します。

とくに熱処理鋼や硬度の高い鋼材では耐熱性も重要なポイントになり、一般的に超硬やセラミックス、CBNなどが選ばれることが多いです。さらに、被削材の焼入れ状態、切削速度、加工形状を総合的に見極める必要があります。

アルミ向け

アルミ向けのバイトには、切れ味の鋭い刃先形状と大きめのすくい角を備えることに加え、切りくずをスムーズに排出できる設計が求められます。材質としてはコーティングを施していない超硬、ロー付工具の場合はアルミ向けの低温コーティングを施したものがおすすめです。

アルミ加工は高速回転での切削が多いため、刃先のバランス性や振動の少なさも重要なほか、切削油の有無によって仕上がりが変わることもあります。

複合材向け

異種素材が組み合わされている複合材は、一般的な金属とは異なる切削特性を持っています。たとえば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、硬い炭素繊維が刃先を急速に摩耗させる一方、樹脂部分は熱で溶けたりバリが発生したりします。

複合材を加工する際のバイトは、耐摩耗性と切れ味の両方を高いレベルで備える必要があり、PCDや超硬の特殊刃形を用いることが多いです。

切削熱を抑えるためにすくい角の大きい設計が採用されやすいほか、チッピングを防ぐために多刃タイプが選ばれるケースもあります。

【旋盤加工】バイトを使用する際の注意点

旋盤加工でバイトを安全に使うためには、適切なメンテナンスと交換が不可欠です。最後に、使用上の注意点を確認しておきましょう。

こまめにメンテナンス

切削工具を使いっぱなしにしていると、刃先の微細な欠けやシャンク部の汚れ、サビなどが蓄積し、加工品質の悪化につながります。刃先に付着する切りくずや溶着物は、表面粗さの悪化・寸法不良の原因になるため、使用後は必ず清掃し、油分を残して保管することが大切です。

スローアウェイバイトの場合は、チップを固定するクランプ部やネジの緩み、工具ホルダー側の摩耗も確認し、刃先飛びやビビリの発生を防ぎましょう。メンテナンスを怠ると、工具寿命が短くなるだけでなく、機械やワークを傷つけるリスクも増大します。

劣化したら早めに交換

摩耗や欠けが進んだ状態でバイトを無理に使い続けると、仕上がり精度の低下だけでなく、重大なトラブルにつながる危険があります。たとえば、刃先が丸くなった工具で切削すると切削抵抗が増え、ビビリや寸法狂いを誘発します。

刃先が鈍ったら素早く別の切れ刃に回転させたり交換することで、生産性と品質を保つことが可能です。

ムクや付刃バイトであれば、研ぎ直しによって再生できますが、限界を超えて使用すると折損につながり危険です。工具交換においては、コストを抑えることを重視せず、品質・安全・効率を守るための投資と考えるとよいでしょう。

最適な旋盤用バイトを選定しよう

旋盤加工に用いるバイトは、加工内容に応じて形状や材質、構造を総合的に判断して導入することが大切です。被削材との相性も重要になるので、これらを広く検討したうえで最適なバイトを選定しましょう。

導入後は、定期的にメンテナンスを行うほか、必要に応じて早期に交換を実施すると、加工精度の安定と工具、機械の長寿命を実現できます。

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この記事の執筆者

特殊切削工具メーカー比較サイト編集部

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