【エンドミル】切り込み量の目安や限界、トラブルへの対処法を解説

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エンドミル加工は、工具径・刃長・突き出し量などの条件で仕上がりが大きく変わります。なかでも切り込み量(軸方向・半径方向)を無理に設定すると、折損やビビり、精度低下につながるため注意が必要です。

本記事では、特に軸方向の切り込み量にスポットを当て、目安や限界の考え方、起こりがちなトラブルとその対策方法について解説します。

もくじ

  1. エンドミルとは
  2. エンドミルとドリルの違い
  3. エンドミルの種類
  4. エンドミルの「切り込み量」は2種類ある
  5. 【エンドミル】切り込み量の目安と限界
  6. 軸方向の切り込み量が大きい加工における注意点
  7. エンドミル加工で起きがちなトラブルと対策
  8. エンドミル加工では適正な条件設定が重要

エンドミルとは

エンドミルは、工作機械に取りつけて金属や樹脂などを切削する工具で、側面・底面・斜面など立体的な形状加工に幅広く使用される工具です。主にフライス加工に用いられ、以下のように多様な加工を1本で行えるのが特徴です。

  • 溝加工
  • テーパー加工
  • 側面加工
  • 倣い加工
  • ポケット加工

エンドミルの刃は外周と底部に配置され、工具の回転により材料を切除していきます。形状や刃数、コーティング、材質などのバリエーションが豊富で、対象材料や加工目的に合わせて仕様を選ぶことが可能です。

エンドミルとドリルの違い

エンドミルとドリルは、どちらも回転して材料を削る工具ですが、役割と構造が大きく異なります。

ドリルは穴をあけることに特化した工具で、先端の切れ刃を使って回転しながら材料にまっすぐ深い穴を形成します。しかし、基本的に側面には切れ刃がないため、横方向に切り進める加工はできません。

一方で、エンドミルは側面にも刃があるため、溝を掘る、ポケット形状を作るなど、立体的な形状加工を得意とします。底の形状も工具ごとに異なるので、用途によって使い分けるのが一般的です。

エンドミルの種類

エンドミルは、刃の形状や構造、材質によってさまざまな種類があります。

形状別

エンドミルの代表的な刃の形状としては、主にスクエア刃、ボール刃、ラジアス刃の3種類が挙げられ、それぞれ特徴が異なります。

スクエア刃 直角の刃先を持っており、溝加工・側面加工・平面仕上げなど幅広い加工に対応できる万能タイプ
ボール刃 先端が球状になっており、3次元形状・曲面加工・金型加工に向いている
ラジアス刃 刃先の角にRをつけることで、強度と仕上げ品質を向上させている

これらの形状が加工に適していないと、ビビりや欠け、面粗さの悪化などにつながるため、加工形状と切削負荷を考慮して使い分けなければなりません。

構造別

エンドミルの構造は、大きく次の2つに分けられます。

  • ソリッド:刃部とシャンクが一体になったタイプで、再研磨が可能
  • スローアウェイ:インサートを付け替えられるタイプで、刃が摩耗したらチップを交換する

ソリッドエンドミルは刃先の精度が高く、切削抵抗が安定しやすいのが特徴ですが、再研磨や交換の頻度によってはコストがかさみがちです。一方、スローアウェイタイプは、多面利用できるので経済的な反面、設定によっては刃先の跳ねや振動が生じやすくなります。

材質別

エンドミルの材質は、加工できる材料や切削速度、耐摩耗性に大きく影響します。代表的な材質にはハイス、超硬が挙げられます。

  • 超硬:硬度と摩耗性が高く、量産加工に適している
  • ハイス:靭性が高く欠けにくいため、低速加工や溝加工に向いている

超硬は焼入れ鋼やチタン合金などに適しており、ハイスはアルミニウムや樹脂の加工などにおすすめです。

エンドミルの「切り込み量」は2種類ある

エンドミルの切り込み量は、一般に 軸方向の切り込み深さと半径方向の切り込み深さの2つで表されます。

  • 軸方向:工具の軸方向に、1回でどれだけ深く入れるか
  • 半径方向:工具径方向に、どれだけ食い込ませるか(切削幅)

なお、溝加工のように工具径いっぱいで削る場合、半径方向の切り込み深さは工具径と等しくなります。

【エンドミル】切り込み量の目安と限界

エンドミル加工では、軸方向の切り込み量が大きくなるほど工具のたわみ・びびり・切りくずの詰まりなどが起こりやすく、折損や仕上げ面品位の低下につながるため注意が必要です。

深さの目安は一律ではなく、機械剛性や突き出し、加工方法といった要素によって変わります。しかし一般的に、「軸方向の切り込み量>工具径の2倍」の条件下では難易度が上がりやすいとされています。

無理に深く削ろうとすると、シャンクがワークに接触するなどして加工精度が低下しかねません。一度に削ろうとせずに複数回に分ける、シャンクが細い工具を用いるといった工夫が必要になります。 

軸方向の切り込み量が大きい加工における注意点

本章では、エンドミルで深い溝加工などを行う際に課題となるポイントを解説します。

工具のたわみ

エンドミルは切削抵抗を受けるとわずかにたわみますが、深く加工するほど側面に受ける力が大きくなり、工具が理想の軌道から外れやすくなります。削り代が均一にならない、角が丸く仕上がる、寸法が狙いから外れるといったトラブルが生じかねません。

深く切り込む加工で寸法が安定しない場合、このたわみが大きくなっていることが考えられます

刃長が長いエンドミルは剛性が低くなるため、刃部ではなく、シャンクで長さを出すといった工夫が必要です。このほか、剛性を高めたい場合には、刃数が多い形状を選ぶのも一案です。

切りくず

エンドミル加工では、軸方向の切り込み量が大きくなるほど切りくずが逃げにくくなり、工具周辺に溜まりやすくなります。切りくずがうまく排出されないと、工具とワークの間で噛み込みや摩擦熱が生じてしまいます。

こうした状況が続くと、刃先の摩耗が早まるほか、たわみやビビりの原因にもなるため注意しなければなりません。

振動 

加工の途中で振動(ビビリ)が発生すると、刃先がブレて一気に不安定になります。こうした振動は、工具やホルダー、機械などの剛性が足りないときや、突き出し量が大きい場合などに発生しやすい現象です。

振動が続くと表面が波打つ、寸法がばらつく、工具が欠けるといった不具合が起きます。軸方向の切り込み量が大きな加工においても、エンドミルへの負荷が大きくなるため、工具の剛性を維持することが難しく、振動が発生しがちです。

エンドミル加工で起きがちなトラブルと対策

エンドミル加工で起こりがちなトラブルを抑制すると、加工精度の向上や工具の長寿命化などが図れます。深彫り加工をする場合は、とくにこうしたトラブル対策を知っておくと効果的です。

ビビリの発生

エンドミル加工でビビリが生じるときは、まずは原因を特定することが大切です。工具や機械側だけでなく、被削材が振動していないかどうかも確かめましょう

工具側に問題がある場合は、突き出し量やホルダーの状態、切削条件などを見直し、適切に調節する必要があります。また、被削材が振動しているのであればクランプ方法を見直し、必要に応じて治具を変更するとよいでしょう。

刃先の異常摩耗

エンドミルの異常摩耗は、次のような例をはじめ、さまざまな原因で引き起こされます。

  • 加工条件が不適切
  • 工具と被削材の相性が悪い
  • 切削油の不足 

こうした状況が続くと、ワークへの悪影響や工具の破損につながるので、早急に対策してください。加工条件を見直すほか、必要に応じてコーティングを施すことなども検討するとよいでしょう。

切りくず排出不良

切りくずがうまく排出されない場合は、まず工具の形状を見直しましょう。刃数が多いとチップポケットが狭くなり、切りくずが逃げにくくなります。

また、ねじれ角の大きなものを採用する、耐溶着性の高いコーティングを取り入れるといった対策も有効です。クーラントやエアブローを活用し、強制的に切りくずを排出させるのも良いでしょう

エンドミル加工では適正な条件設定が重要

エンドミルで深彫り加工を行う場合、切り込み量を始めとした様々な切削条件に気を配らなければなりません。工具径や刃長を無視して深く加工すると、シャンクがワークに接触したり、ビビリが発生したりして加工精度が低下する可能性があります。

また、エンドミル加工では摩耗や切りくずの排出不良も起きやすいため、切削条件をこまめに見直し、適宜調整や改善を行いましょう。クーラントの利用やコーティング、工具設計など、さまざまな角度から見直すことで、安定した加工を実現できます。

なお、切り込み量の適正値は被削材や加工内容、機械剛性や保持方法によって大きく変わります。各工具メーカーが公開している市販工具カタログで推奨されている切削条件を参考に設定するのが良いでしょう。

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この記事の執筆者

特殊切削工具メーカー比較サイト編集部

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