2026年2月、世界最大規模の素材専門展示会「高機能素材Week」が初めて名古屋の地で開催。自動車産業の集積地ならではの熱気のなか、製造業の未来を切り拓く技術が一堂に集まりました。
本記事では、会場で実際に感じた展示の様子や注目ブースのレポートを通じて、今後の素材・加工技術トレンドをお伝えします。
もくじ
高機能素材Weekとは

機能性フィルム・プラスチック・炭素繊維複合材・金属・セラミックスなど、最先端の素材技術が一堂に集まる「高機能素材Week」は、世界最大規模を誇る素材専門の展示会です。
材料メーカーにとどまらず、製造加工機械・検査測定分析機器メーカーまで幅広い出展者が集い、各業界の研究・開発・設計・製造担当者と出展社で活発な商談が繰り広げられます。
主催はRX Japan合同会社で、以下のような複数の専門展示会が同時開催される構成です。
- サステナブル マテリアル展(SUSMA)
- モビリティ マテリアル展
- 機能性フィルム・テープ展 など
東京開催での実績を重ねてきた同展示会ですが、2026年2月に初めて名古屋で開催されました。今回は「高機能素材Week名古屋2026」について、展示会場の雰囲気から印象に残ったブース、そして製造現場に携わる方々が把握しておきたいトレンドまでレポートします。
高機能素材Weekの基本情報
高機能素材Week名古屋2026の基本情報は以下のとおりです。
| 会期 | 2026年2月18日(水)〜20日(金) |
|---|---|
| 会場 | ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場) |
| 主催 | RX Japan合同会社 |
| 同時開催展 |
|
| 来場者数 | 11,049人 |
自動車産業の一大集積地である名古屋での初開催とあってモビリティ分野への関心は特に高く、業界を代表する企業の出展も相次ぎました。
高機能素材Week名古屋2026の開催概要
名古屋という地の利を最大限に活かした今回の開催は、自動車・航空宇宙・電子機器・環境分野など幅広い業界の来場者が一堂に会した点で、過去の開催と一線を画していました。ここからは展示規模や来場者の傾向などについてご紹介します。
展示・来場者の傾向とセミナーの充実ぶり
会場では各社のブースに多くの来場者が訪れ、素材メーカーの担当者との商談が各所で活発に行われている様子が印象的でした。
単なる情報収集にとどまらず、具体的な商談や技術課題の相談を目的とした来場者が多く、会期3日間を通じて展示会本来の役割を改めて実感させる熱気にあふれていました。
セミナーも多彩なプログラムが用意されていました。トヨタ自動車や本田技術研究所による材料戦略に関する基調講演、自動車プラスチックリサイクルと動静脈連携をテーマにしたパネルディスカッションなど、現場の技術者にとって価値の高い内容が目白押しでした。
資料をネットで持ち帰れるColleqtサービス

今回の展示会で特に便利だと感じたのが、デジタル資料収集サービス「Colleqt」の導入です。展示ブースごとにQRコードが設置されており、来場者がスマートフォンでスキャンするだけで各社の製品資料をまとめて取得できる仕組みです。
展示会では紙のカタログが大量に配布されることが多く、帰社後の整理に手間がかかるのが従来からの悩みでした。Colleqtを活用すれば、その場でスマートフォンに保存して後からすぐに確認できるため、重い紙資料を持ち歩く必要もなくなります。
当日の様子
実物素材のサンプルや最新技術のデモンストレーションを展示するブースが立ち並び、来場者の目を引いていました。なかでも材料単体の展示にとどまらず、実際の車両やモビリティを活用した「体験型展示」が特に来場者の注目を集めていました。
注目を集めていたブース
会場内で特に多くの来場者が集まっていたのが、自動車の軽量化・次世代モビリティに関連したエリアです。素材の実用化を「見て・触れて・体感できる」展示が揃っていました。
NCVプロジェクト展示──CNFを使った次世代の車
会場内でひときわ注目を浴びていたのが、環境省のナノセルロースプロモーション事業(NCVプロジェクト)が展示したCNF(セルロースナノファイバー)を活用した自動車です。
CNFは植物由来の次世代素材であり、鉄の約5分の1という軽さでありながら鉄の約5倍の強度を持つとされる素材として近年注目を集めています。主な特徴は以下の通りです。
- 植物由来で持続可能(サステナブル)な原料
- 超軽量・高強度という相反する特性を両立
- 自動車ボディへの適用による大幅な軽量化が期待される
会期中には富士市CNFプラットフォームと静岡県工業技術研究所富士工業技術支援センターが共同出展し、静岡県産木材・CNFを使用したコンセプトカー「しずおか もくまる」も同時展示。次世代素材の可能性を来場者に強く印象づけていました。
スーパーカー×高機能素材の特別展示

もう1つ注目されていたのが、一般社団法人日本スーパーカー協会の協力によるスーパーカーの特別展示です。最新のカーボン・チタン・複合樹脂など高機能素材をふんだんに使用したスーパーカーが並び、素材技術の粋を集めた究極の工業製品として多くの来場者が足を止めていました。
切削加工の観点からも、炭素繊維複合材(CFRP)やチタン合金をはじめとする難削材の加工技術は重要なテーマの1つです。今回展示されていたようなスーパーカーの各パーツの中には、高機能素材に対応した特殊切削工具がその精度や品質を支えているものも多く、素材技術と加工技術は切り離せない密接な関係にあります。
また会場ではインド・マヒンドラ製の最新EV「XEV9e」の車両とe-Axleを分解した状態で特別展示。次世代小型モビリティ「Lean3」の試乗体験コーナー(1日120名限定)も設けられ、盛況を呈していました。
そのほかの注目展示
モビリティ関連の展示が会場の目玉となる一方で、素材技術そのものの進化を伝える展示も充実していました。
カーボンニュートラルへの対応や環境規制の強化といった昨今の傾向を受け、「持続可能性」と「高機能化」を同時に実現する技術の提案が各社から相次いだ印象です。
CFRPなどリサイクル技術の最前線
CFRPリサイクル分野では、廃棄される炭素繊維複合材料を従来の熱分解法よりも低温で分解し、炭素繊維の強度を95%以上保持したまま再資源化できる溶媒溶解法が紹介されました。
回収された炭素繊維は不織布や射出成形用ペレットとして再利用でき、GHG排出量削減と資源循環の両立を実現する技術として来場者の関心を集めていました。
またPPS樹脂のリサイクル技術も展示。リサイクル材とバージン材を最適ブレンドすることで初期性能を維持した成形品を実現する革新的なアプローチも注目されていました。
PFASフリー・次世代素材への対応
近年、欧米を中心に規制強化が進んでいるPFAS(有機フッ素化合物)への対応も重要なテーマとして浮上しています。
難燃性・高耐熱性を維持しながら柔軟性を付与した次世代PPS樹脂が紹介され、冷却配管や配線被覆など過酷環境下での使用を想定したフッ素樹脂の代替材料として実用性が期待されています。
さらにコンプライアントメカニズムを活用した樹脂一体構造技術も展示され、その樹脂部品がすでに月面に到達しているという事実は来場者に強いインパクトを与えていました。
高機能素材Week名古屋2026から見えた製造業のトレンド
今回の展示会を通じて浮かび上がってきたのは、製造業全体のキーワードとして「軽量化」「環境対応」「リサイクル性」が確固たるトレンドとして定着しつつあるという事実です。
- 軽量化素材(CFRP・CNF・アルミ合金など)の適用領域が自動車から航空・宇宙分野にまで拡大
- カーボンニュートラル実現に向けたリサイクル技術・バイオ素材の実用化が加速
- 環境規制(PFAS規制など)への対応を見越した代替素材の開発競争が激化
こうした素材トレンドは、特殊切削工具の選定にも直接的な影響をもたらします。CFRPやチタン合金・アルミ合金などの難削材が製品に採用される機会が増えるほど、それらの加工に対応した高機能な工具へのニーズも比例して高まります。
素材の進化と加工技術の進化は切り離せない関係にあり、高機能素材Weekのような展示会は切削工具を選定・検討する製造担当者にとっても重要な情報源です。
次世代素材の加工を見据えた工具選定を考える際は、ぜひ本サイトで紹介しているメーカー情報もあわせてご活用ください。
高機能素材Week名古屋に関するよくある質問

ここからは、高機能素材Weekに関するよくある質問にお答えします。
Q:高機能素材Weekはどのくらいの規模の展示会ですか?
A:機能性フィルム・プラスチック・炭素繊維複合材・金属・セラミックスなどの最先端素材技術が集まる世界最大規模の素材専門展示会です。複数の専門展示会が同時開催される構成となっており、材料メーカーのみならず加工機械・検査機器メーカーも多数出展します。
Q:名古屋2026は東京開催と何が違いますか?
A:高機能素材Week名古屋2026は同展示会として初の名古屋開催となりました。自動車産業の一大集積地である中部エリアで開催されたことから、モビリティ関連の出展・来場が特に充実していた点が大きな特徴です。
トヨタ自動車・本田技術研究所による材料戦略の基調講演や実車分解展示・試乗体験など、製造業の中心地ならではの濃密な内容となりました。
Q:次回開催の予定はいつですか?
高機能素材Weekは定期的に開催されており、2027年2月17日(水)〜19日(金)の開催が予定されています(主催:RX Japan合同会社)。詳細は公式サイトをご確認ください。
素材の進化が製造現場の競争力を引き出す
今回の高機能素材Week名古屋2026では、「軽量化」「環境対応」「リサイクル性」という3つの潮流がより鮮明になりました。CNFやCFRPといった次世代素材の実用化が進む一方で、それらをいかに効率よく加工・再利用するかが現場の新たな課題となっています。
素材の進化は、そのまま加工技術への挑戦でもあります。最新の素材特性を理解し、最適な工具選定や工法を取り入れることが、次世代のモノづくりを勝ち抜く鍵となるでしょう。
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この記事の執筆者
特殊切削工具メーカー比較サイト編集部
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